こんにちは、元ケースワーカー職員のにいやんです。
生活保護をうける際、「扶養照会」を行います。「扶養照会ってなんだよ」「親続に連絡されるの?」「扶養照会なんてされたくない」って思いますよね。
そこで、今回は「扶養照会」について説明します。
この記事を読むことで、職員が例外的に扶養照会を行わない場合や扶養照会の書類が送られてきたときの断り方を知ることができます。また、扶養義務者がいる場合に生活保護を受けることができるかどうかも知ることができます。
この記事の内容
生活保護の扶養照会とは
生活保護の申請をすると、ケースワーカーは、原則「扶養照会」を行います。
扶養照会とは、「○○さんが生活保護の申請をしてきました。援助してあげることができませんか?」という内容の書類を送ることです。
生活保護の申請をする人の中には、この扶養照会が嫌で生活保護の申請をやめてしまう人がいます。たしかに、ケースワーカーは原則、扶養照会をしますが、特別な事情がある場合は扶養照会を行いません。特別な事情についてはのちほど説明しますね。
扶養照会の範囲はどこまで?
扶養照会は3親等内
扶養義務があるのは、3親等内の親族です。ですが、私が扶養照会をしていたのは、親、配偶者、子供、兄弟姉妹です。なぜなら、先輩職員がそこまでしか扶養照会をしていなかったからです。
実は扶養照会をする際、ケースワーカーは戸籍調査を行い、扶養義務者の住所を調べます。これがやたら時間がかかるのです。何か月もかかることが結構あります。というかそっちのほうが多いです。職員によっては途中であきらめて放置なんてこともよくありました。
しかし、場合によっては祖父母にも扶養照会を行う場合があります。例えば、両親がいない場合です。
離婚している場合の扶養照会
また、離婚した場合であっても、子供が生活保護を受給しようとした場合が扶養照会を行います。
たとえば、両親が離婚して、父親とは別居していても、その子供が生活保護を受給しようとする場合は、父と母の両方に扶養照会の書類を送ります。離婚した配偶者には、扶養照会を行いません。
勤務先へ扶養照会
一応ですが、扶養義務者(親、配偶者、兄弟姉妹)の収入や資産を確認するために、生活保護を受給しようとする本人だけはなく、扶養義務者の勤務先や銀行などにも調査をし、報告を求めることができることになっています。
しかし、実際の現場では、そこまですることはありません。私もそこまでしたことがありませんし、周りの職員にもいませんでした。正直、忙しくてそこまで手が回りません。
扶養義務者がいると生活保護を受けられない?
扶養義務者がいたら生活保護を受けることができないのではないかと不安になりますよね。
安心してください。扶養義務者がいても生活保護を受給することができます。なぜなら、扶養義務者である親や兄弟姉妹が裕福とは限らないからです。というか、資産があっても必ず援助をしなければいけないというわけではないので。
ケースワーカーが例外的に扶養照会を行わない場合
例外的に扶養照会を行わない場合があります。
「親からDVを受けていた」とか。このような場合は扶養照会を行うと「○○で生活保護を受けようとしている」ということ、つまり居場所がばれてしまいますので扶養照会はしません。
私が職員時代に扶養照会をしなかった例はこれだけです。
よくある質問【Q&Aコーナー】
受給者からの質問
Q:扶養照会って毎年行うのでしょうか?
⇒ケースワーカーによります。ほとんどの場合は、保護開始時のみですね。
Q:扶養照会をされたくないので、「親とは絶縁状態なので居場所がわからない」といえば大丈夫でしょうか?
⇒それでも扶養照会はされてしまいます。戸籍を調べて、扶養義務者の住んでいるところ確認しますので、住所を言わなくても職員に知られてしまいます。
扶養義務者からの質問
Q:扶養照会に収入を書きたくない場合はどうしたらいいのでしょうか?
⇒書かなくても大丈夫です。
Q:扶養照会に答えないと罰則があるのでしょうか?
⇒特に何もありません。扶養照会をしても、返事がこないことはよくありました。返事をしなければ、「扶養しない」とみなされます。
Q:扶養できない場合はどうしたらいいのでしょうか?
⇒扶養できないという欄にチェックをいれてください。
まとめ
生活保護を受けようとすると、「扶養照会」がセットになってついいてきます。扶養照会をしない場合があるとすれば、先ほど紹介しましたが、扶養照会をすることによって、生活保護を申請した人に危険が生じる可能性がある場合です。あとは職員がめんどくさがってやらないということもありますが。
基本的には、「扶養照会」をさけることはできないのであきらめましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。